めっきが剥げる

by admin
8月 17 2011 年

今日は来店時間までお約束していただいたお客様が、閉店時間まで待ってもいらっしゃらず、ちょっと寂しい気分で帰宅しました。

わが社のHPを「大変信頼性が高いですね」と褒めてくださったような方ですので、きっと、急な用事で携帯電話の電波も届かないような場所へ行かなくちゃならなくなったんだろうな・・・うん、きっとそうに違いない、そう思うことにしようw

それはさておき、最近こんな本を読みました。
背表紙付近に見える、公共機関の分類用ラベルには突っ込まないで下さい。

日刊工業新聞社刊:「トコトンやさしい 機能めっきの本」です。

中でも、”硬い表面を得るめっき”と”磨耗しにくい表面を得るためのめっき”の項に興味をそそられました。

以前から、バルジュー7750の部品表面は鈍い光沢仕上げがされており、バネ性を保ちつつも長年の使用でも摺動部分が磨耗しないことから、1960年以前のアンティークなクロノとは異なる表面処理がされているのものと想像していましたが、どうやらその謎がこの本によって解けました。

硬い表面と磨耗しにくいを得るめっきは、”硬質クロムめっき”とのこと。
鈍い光沢が出るのがこのめっきの特長だそうで、7750のレバーやバネの表面には、このめっきがかけられている事が想像されます。

また、”表面に潤滑性を持たせるためのめっき”のところを読んだ際には、極力摩擦を少なくして手巻きの際に引っかからずに空回りさせる必要のある、ロレックスの赤い切替車に採用されているのではなかろうかと、あれこれ想像をめぐらす事が出来ました。

このあたりは、私もこれからまだまだ知識の蓄積や検証が必要です。

材料工学や生産技術に明るい方からは、「えっ!?時計屋さんって、そんな基本的なめっきの知識も無いの!?」と呆れられてしまうかもしれませんね。

こんな基礎的な事も知らず、”アンティーク時計はコストを度外視した材質を使っていたので、現行品より耐磨耗性に優れる”という雑誌の記事を、調味料の小袋に記されてる「こちら側のどこからでも切れます」という楽観的な文言と同じように、素直に信じた自分が恥ずかしくなりました・・・

”めっきが剥げちゃいましたね”と笑われないようになりたいものです。

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