‘オメガ’ カテゴリーのアーカイブ

最後に

オメガ | by admin
8月 17 2011 年

コメントを見ますと、このシーマスター300がどのような経緯を経て世の中に出てきたかは、皆さん大体の推測が出来ているみたいですね。

なので、私が「真実はこうだ!」みたいに語ると、色々と面倒な事もありそうなので、以下の事実だけ記して、このシーマスターについては最終回とします。

●ムーブメントがクォーツ、もしくは中国製の機械式ムーブメントを搭載していて、外装がそっくりの時計が1~2万円で販売されている。
もちろん、文字盤には別ブランドのロゴが入ってますけど。

●”スーパーコピー”と呼ばれるブランド時計のニセモノや、そっくりさんのレプリカ時計といったものを見てもわかるように、工作精度が高いケースやブレスを新規作成することは、ある程度のコストさえかければ一見オリジナルと区別がつかないものも作成可能になってきています。

●文字盤は後からいかようにもリダンできる事は周知の事実です。

●裏蓋には後から文字を掘り込んだり彫刻が可能なのは、記念品の時計などでそういった
サービスがあることからも、それほど難しいことではありません。

●ムーブメントの新規作成は昔も今も大変な設備投資を伴いますが、1960年代オメガの代表的ムーブメントであるcal.550、560系統はシーマスターやジュネーブなどにも搭載されていて、比較的安価に入手が可能です。

●それらのムーブメントは防水性が売りのシーマスターに搭載されていたせいか、水気に
対して無頓着に扱われていたものも多かったらしく、水没してサビだらけとなったジャンク品をタダ同然で買い取り後、サビ取りしまくって強引に動作するようにしてある個体をよく見かけます。

●針のハカマ(穴)のサイズは、適合するムーブメントに対してサイズが厳密に決まっており、異なるムーブメントに針だけ合わせるのは非常に難しいものです。
仮に大き目の針から削って、装着は可能だったとしても、手作業でキレイに仕上げるのは至難の技です。
ただ、これも相当のコストを掛ければ新規に作成する事も可能ですが。

以下、さらに余談ですので読み流してください。

ずっと幻のように扱われてきたスピードマスターのファーストモデルが、復刻版が登場したとたん市場にいくつも出てきたり、同じく生産数が極端に少なかったはずのRef.1655エクスプローラーⅡが、”全くダメージの無い新品同様な”状態で驚くような高値をつけて販売されていたり等々、世の中には不可思議なことが多々あります。

そういえば、エクスプローラーⅡと同じムーブメントを搭載しているRef.1675のGMTマスターは、最近すっかり見かけなくなりました。

スポーツモデルの看板モデルとして、当時は比較的生産数が多かったはずなのですが、一体どこいったんでしょうねぇ・・・・

それでは、皆様色々想像して楽しんでくださいね!

劣化具合

オメガ | by admin
8月 17 2011 年

比較的状態の良いシーマスターが修理で入ってきましたので、比較の為に同じアングルで撮影してみました。

パッと見は適合するムーブメントが入っていて、そこそこ見栄えのする状態にも見えたシーマスター300(?)ですが、細かい部分を見ると違いが一目瞭然ですね。

前回の写真を見て、”ジェダイの復讐”では一作目に比べて、すっかり劣化してしまったレイア姫を思い出しました。

最初に見る部分

オメガ | by admin
8月 17 2011 年

ムーブメント(特に’60年代のオメガ)をチェックする際に真っ先に見るのが、緩急針、角穴車、機留めネジ部分です。
何故にこの3箇所かというと、スチールで出来ている部品だからです。
その理由は次回でお伝えする事にしますので、まずは緩急針部分を拡大して見てみましょう。

・・・・

角穴車近辺も想像通りの状態です。

”何が起きるとこういう状態になるのか”それを把握するのが、この時計の出自を推し量る目安となります。

次回はそのあたりの解説を。

正真正銘のオメガ

オメガ | by admin
8月 17 2011 年

オメガです。

1960年代、本物のcal.550です!!

様々な想像をさせてしまいましたが、意外な結末でスイマセン・・

って、それで終わるわけないじゃないですか。
いよいよ次回は最終章に突入です。

This is a pen!

オメガ | by admin
8月 17 2011 年

いよいよ裏蓋を空けます。

オメガの裏蓋の内側にはRef.ナンバーなどが刻印されているのですが、意外にも結構キレイな刻印が打たれていました。

”見えない部分も手を抜かない”という、スイス高級時計の思想がシルクロードを介して伝わっていたのかもしれません。

ん??

二段目の”PLAQUE OR G 40MICRONS”って、「40ミクロン金メッキ」って意味じゃなかったっけ???

すかさず166.002という品番を調べてみると、どうやら1960年代のオメガ・ジュネーブの金メッキタイプのようです。

荒井注並みの英語力しか無い人が、テキトーに丸写ししたんだろうなぁ・・・

その昔、中国製花火の説明書きで「どらかせんに火をつけると、ぐらぐらとまはりだします」とあった事を思い出し、なんだか懐かしい気分に浸ることができました。

唯一褒められる点(??)

オメガ | by admin
8月 17 2011 年

軍用の証(?)である裏蓋の刻印です。

拡大画像でもわかるように、とても綺麗に刻印されていますね。
なかなか良い仕上がりです♪

でも、こういった軍用の識別用刻印って、時計メーカーから納入された後、軍の手によって刻印される事が多いので、加工精度の面から見ると、やや粗い刻印であることも多く、こんなにクッキリ綺麗に文字が出ているのは珍しいんですけどね・・・

10年以上前にOHしたものは、けっこう粗い刻印でした。

2タイプ存在するのかなぁ(笑)

見えなきゃ・・・良くない!

オメガ | by admin
8月 17 2011 年

同じアングルから画像の赤丸部分、ベゼルの凹凸部分をクローズアップしてみましょう。

う~ん、何とも粗い仕上げです。

ここまで跡を残しておいてくれると、小型の丸鋸状のカッターを回転させて、この凹凸を加工しているというのが良くわかります。
大人の社会見学です。

この部分は、販売する際の画像には写りにくい箇所ですからね。

この時計の一貫したコンセプトである「見えなければいい」という思想は、見渡して周りに誰もいなければ、散歩中の犬のふんを回収しないような人達に受け入れられるのかもしれません。

買うんじゃなかった・・・と思わせるシーマスター

オメガ | by admin
8月 17 2011 年

ケースを研磨して仕上げる際、結構難しいのがラグのヘアラインと鏡面部分の境目なのですが、画像でもわかるように、ここは結構頑張っています。

しかし、その先に目を向けると、やっぱり馬脚を現しますね。

ベゼルの下部分、ケースと接する箇所ですが、サビ落としをしたかのように凸凹になっています。(2枚目画像赤丸部)

さらに、ケースのほうにはヤスリを滑らして削り過ぎてしまったような跡が見えます。

このシーマスター、買ってからがっかりさせられるという点では、雑誌の袋とじページと
相通ずるものがあります。

ブラックシーマスター300 その2

オメガ | by admin
8月 17 2011 年

 

このシーマスター300を手にとって、真っ先に注目したのは針の状態です。

前の記事の画像でもわかるように、一見すると何ら問題無さそうなのですが、キズ見、さらに顕微鏡レベルで観察すると、一枚目の画像の通りです。

ムーブメントの中心軸にはめ込む部分ための円形の穴(通称:ハカマ)が開いている、針の根元を見てください。

サビや経年劣化だけでは、このようにいびつな形状にはなりません。

何らかの要因で、大幅に削る必要があったものと思われます。

2枚目の画像は秒針の先端ですが、先端の形状がシャープに尖っておらず、非常に”甘い”形状である事がわかります。
夜光が入る部分の菱形切り欠きも、同様に甘い仕上がりです。

また、秒針だけでなく短針・長針も傷だらけでした。

何でこんな状態になっているのか??

それはこれからの記事を読んで、皆さんで推測してくださいね。
私はあくまで、この時計の客観的事実を述べてゆくに留めたいと思っていますので・・

ブラック(?)なシーマスター300

オメガ | by admin
8月 17 2011 年

最近、ネット上でよく売り物を見かける1960年代のシーマスター300です。

傷みやすい回転ベゼル、裏蓋/ケースは磨き減りやキズもなくピカピカ、文字盤も経年劣化が見られませんね。
40年経過した時計とは思えないコンディションです。

このシーマスターですが、最近購入したもののすぐに停止すると言う事で、点検/修理の依頼を受けました。

しかし、外装を一通り目視で点検した時点でほぼ判断はできていたのですが、裏蓋を開封してムーブメント点検した時点で、丁重に修理をお断りする事にいたしました。

これから何回かに渡って、”最近になって急に市場に出回る数が増えた”このタイプの軍用シーマスター300について、あくまで客観的に細部を紹介したいと思います。