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ロレックス オーバーホール 修理 (有)友輝 全国配送対応

ロレックス サブマリーナ Ref.16803 オーバーホール

ロレックス サブマリーナ Ref.16803 オーバーホール


  • ロレックス サブマリーナ Ref.16803 オーバーホール

    1988年くらいまで生産されていたサブマリーナRef.16803です。
    文字盤は変色して針の夜光塗料も一部抜け落ちており、一見して手間のかかる状態である事が想像できます。
    果たして復活は出来るのでしょうか??
    何故ここまでの状態になったのかも含めて、その過程を紹介してゆきます。

    ロレックス サブマリーナ Ref.16803 ベゼル 回転


    回転ベゼルの隙間にも付着物が堆積しており、ベゼルが固着して回せない状態です。
    過去に何度かオーバーホールされていたようですが、その際ベゼルを外して清掃する事を省略していたりすると、最終的にこのような状態になります。
    文字盤、針の劣化は湿気/水分の混入というよりは紫外線の影響のほうが疑われますので、アウトドアで頻繁に使用されていたのかもしれません。

    ロレックス サブマリーナ Ref.16803 リューズ交換


    ケース本体にねじ込まれているリューズ受け側となるチューブに緑青が発生し、外側に付くパッキンも目視で硬化している事がわかり、気密/防水性は失われていると推測されます。
    チューブの雌ネジ部にも付着物が詰まっていて、この状態でリューズのねじ込みを繰り返し行うとリューズのねじ山が摩耗し、大変高価なリューズ交換が必要となります。
    このチューブの状態からも汗に晒されるような環境で長年使用された事がうかがえます。

    ロレックス サブマリーナ ブレス コンビ

    ブレス/クラスプの隙間にも汚れ/付着物が堆積しています。
    10年間ブレスを洗浄していない時計というのは、その期間洗濯しないで着続けた衣服を身にまとっているのと変わりません。
    単に不衛生なだけでなく、そういった長年の汗やホコリといった汚れは、ステンレスといえどもサビの原因となり、徐々に本体ケースやブレスレットにサビが発生する原因となります。
    サビによってブレスがちぎれてしまって時計を落下させたり、バンド/ブレスレットの全交換まで必要となると修理金額が非常に高額となります。

    ロレックス サブマリーナ クラスプ

    ロレックス サブマリーナ ブレス コマ

    ”ブレスがちぎれる”
    いくらサビが発生するといっても、まさかそこまでは・・
    とお思いの方もいらっしゃるでしょう。
    私もこの個体を見るまではそう思ってました。
    今回のRef.16803とは別のサブマリーナのブレスですが、サビ+汚れ+摩擦過多の複合要因でここまでになります。

    ブレスがちぎれた場合、ステンレス無垢材から該当コマの新規作成も可能ですが、同じように腐食しているので間もなく他の個所も破損、修復のいたちごっことなる可能性もあり、その場合”高価な1コマ新規作成を行わないで、最初から社外品のブレスと全交換しておけば良かった”という事態を招きかねないので、当社では推奨しない方法でもあります。

    ロレックス サブマリーナ Ref.16803 cal.3035

    外装の状態と長年オーバーホールを怠っていた事からすると、内部の状態も悪化している事が懸念されましたが、裏蓋を開封すると比較的良好な状態でした。
    この事からもリューズと裏蓋の気密性はずっと保たれていた事がわかります。

    ロレックス サブマリーナ Ref.16803 ベゼル 汚れ

    18K製のベゼルは非常に柔らかいため、歪ませないよう慎重に取り外すとその下はこのような状態でした。
    これだけ汚れが蓄積されていればベゼルの回転が不可能なのも頷けます。
    12時付近にベゼルの逆回転を防止してクリック感を発生させるバネが飛び出ているのが確認できますが、サブマリーナの取扱い経験が乏しい作業者ですと、このバネの存在に気付かないままベゼル取り外しの際に紛失し、通常のスチールで自作したバネを装着し、後日サビて固着する例もまれに見受けられます。

    ロレックス サブマリーナ Ref.16803 ケース

    回転ベゼルの台座とガラスの固定を兼ねるインナーベゼルを外すとパッキンは劣化しており、本体ケース側にはサビも発生していました。
    文字盤の劣化は変色の感じから紫外線の影響が大きかったと推測しましたが、気密性の低下による湿気の影響もあったのかもしれません。

    ロレックス サブマリーナ Ref.16803 ガラス 

    ロレックス サブマリーナ Ref.16803 リューズ チューブ

    劣化/摩耗し、気密性低下の原因となっていたガラスパッキンとリューズチューブを交換します。
    ガラスパッキンはひび割れているのが確認できます。
    ガラスパッキンを交換するにはそれなりのノウハウが必要となります。
    その難しさについては過去、以下のページ後半で紹介しております。
    →他社でオーバーホール15万円と見積もりされたサブマリーナ

    ロレックス サブマリーナ Ref.16803 ガラスパッキン

    ロレックス サブマリーナ Ref.16803 文字盤 針 未交換

    夜光塗料のひび割れを補修し、気密/防水試験にも合格して最終的にこのような姿となりました。
    ブルーの文字盤が独特の色合いに変色し、これはこれで唯一無二のサブマリーナとなった感じもあります。
    オーバーホールにあたって文字盤交換必須という条件が加わるために、このような文字盤のまま使い続けたい方にとっては日本ロレックスへ作業を依頼できないのが大きな悩みとなっているようです。