本文へスキップ

ロレックス エクスプローラーU オーバーホール 修理 (有)友輝  全国配送対応

ロレックス エクスプローラーURef.16570オーバーホール


  • ロレックス エクスプローラーU オーバーホール

    オーバーホールせずに28年間ほぼ毎日使用していた、ロレックスRef.16570エクスプローラーUです。
    ガラスやベゼルの縁、ブレスと本体ケースとの間にかなり汚れが蓄積していることがわかります。

    ロレックス エクスプローラーU ブレス

    ロレックス エクスプローラーU バンド 汚れ

    この度いよいよ停止したため、当社の前に2社で診断したところ、いずれも10万円を超える見積もりがされたそうです。

    症状を聞くかぎり他社での必要交換部品も的を得ていて、不当に高すぎる見積もりではないようです。
    しかし同じ作業をして10万円いただくのでは、ここで紹介する意味がありません。
    当社がどのように対処したのかを以下に紹介してゆきます。

    ロレックス エクスプローラーU リューズ 閉まらない

    他社での高額見積もりの要因として、ねじ込み不可能(=リューズがバカ)となったリューズの交換が必須となった事が挙げられます。
    リューズは状態が良ければ中古品でも数万円以上の価格で流通している事もあり、オーバーホール/修理価格を引き上げる要因となっております。
    外装パッケージの有無などにもよりますが、新品リューズは当然これ以上の価格となっております。

    他社で高額の見積もりとなったのは、手巻きがガリつく感触があったために”切替車”の交換が必須となった事も大きな要因です。
    この赤いコーティングが施された歯車も数万円し、しかも2個必要な事がわかります。

    cal.3135 切替車

    ロレックス エクスプローラーU ムーブメント

    リューズ+切替車2個+オーバーホールとなれば、それだけで10万円を超える費用となり、しかもこの両部品の交換が必要な場合、その他の部品も交換が必須となる事も多く、さらに費用がかさむのです。

    懇意にしている部品作成/加工業者と協力して試行錯誤を重ねたのち、当社では摩耗/腐食したリューズ内側のねじ山を再生する事が可能となりました。
    撮影が非常に難しい箇所なのですが、緑青が発生して半分ほどに腐食、摩耗したリューズ内側のねじ山が、外縁までしっかり再生されているのがわかります。

    ↓腐食、摩耗しねじ込み不可能となったリューズ



    ↑ねじ山再生後のリューズ

    元のリューズの状態にもよりますが、当社はこの技術の開発協力企業という事もあり、新品リューズの半額以下、中古リューズの60%ほどの価格での再生が可能です。
    さらに材質を工夫する事で、オリジナルより耐摩耗/腐食性を向上する事にも成功しております。
    これまで多数の施工例がありますが、この再生リューズのトラブルは皆無ですので、この度自信をもってこの技術を公開する事にいたしました。

    ↓ねじ山再生したリューズ。奥までしっかりねじ込めています。
    ロレックス エクスプローラーU リューズ

    切替車は上下2段構造になっており、さらに2個使用する事でローター(自動巻き錘)が左右どちらの方向に動いてもゼンマイを巻き上げるようになっています。

    ロレックス 切替車

    巻き上げ効率を上げるために加工精度も非常に高く、さらに手巻きの際にはスリップして回転するという役目も果たすために、摩擦抵抗が低く耐摩耗性に優れる特殊表面処理(赤色ルビーコート)が施されています。
    このような特殊な構造ゆえ社外品での製造が困難なせいか、部品の価格が高騰する要因となっております。
    しかし、当社はこの切替車のある特徴に気付きました。

    この切替車で摩耗/変形する箇所は、ほぼ決まってルビーコートされた下側の歯車の中心軸です。

    cal.3135 切替車

    この中心軸は圧入されて固定されているだけなので、着脱が可能です。
    以下は取り外した中心軸を拡大した画像ですが、上部の軸が摩耗/変形しているのが確認できます。

    ロレックス 3135-540

    肉眼では確認が困難な程度の摩耗でも、手巻きが異様に重くなったり、”ガリガリ”という、いかにも異常を感じさせる感触となって現れます。

    この中心軸、自分で旋盤を駆使して作成する事も可能なのですが、100倍に拡大すると矢印の箇所が鏡面に研磨されていたり、微妙なクリアランス(間隔)を維持するために面取り/段加工されていたりと、意外に手間のかかる形状をしています。

    ロレックス 切替車 3135-540

    そこで、今後もある程度交換需要が見込める事もあり、先のリューズねじ山再生業者とはまた別の部品加工業者と相談し、この軸だけを製品として作成する事をもちかけてみました

    間もなく加工業者さんから製品化した中心軸が納品され、全く問題なく切替車を再生する事が出来ました。
    中心軸の交換には画像の工具を使用するのですが、数ある中から適切な太さ/形状のアタッチメントを選定し、0.1mm以下の精度で確実な位置に中心軸を押し込むことが必要となります。

    ロレックス エクスプローラーU 修理

    アタッチメントの選定を誤ると、軸どころかルビーコートされたほうの歯車を破損させますし、軸の位置が0.1oズレていたとしたら切替車が機能しないどころか、手巻きが不可能となります。
    ユニット一式を交換すればいい完成部品と違い、社外製部品の使用にあたっては、作業者の技術が求められます。

    ホームページ上にオーバーホール基本料金しか掲載されていないと、部品代やその他工賃が上乗せされて、結局は高額になるのでは?と不安に感じる方も多いことでしょう。
    当社では最終的にお客様がお支払いいただいた金額を掲載する方針です。

    今回のエクスプローラーUは以下の金額でした。

    ROLEX EXPLORER U Ref.16570
    オーバーホール(分解・超音波洗浄・組立・注油)¥29,700
    ゼンマイ交換 ¥3,850
    2,3番歯車芯研磨 ¥8,800
    切替車軸交換×2 ¥11,000
    リューズネジ山再生 \16,500
    合計 ¥69,850

    ロレックス エクスプローラーU オーバーホール 料金
    ※価格は作業完了時点のものとなります。