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ロレックス オーバーホール 修理 (有)友輝 全国配送対応

ロレックス GMTマスターU/エクスプローラーU

GMT-MASTER U Ref.116710/エクスプローラー2 Ref.16570


  • ロレックス GMTマスター2 Ref.116710

    ロレックス エクスプローラー2 Ref.16570

    2010年後半から2011年にかけて生産されたエクスプローラーU/Ref.16570とGMTマスターU/Ref.116710については、内部の部品にある特徴があるため、オーバーホールにあたっては注意が必要です。

    ロレックス cal.3186 ムーブメント

    この時期の両機種に搭載されているムーブメントは2005年に耐磁性を有する青いヒゲゼンマイに改良されたcal.3186です。
    cal.3186に変更されてもGMT-MASTERUはRef.16710、エクスプローラーUはRef.16570のままでしたのでヒゲゼンマイだけのマイナーチェンジである事がわかります。

    この後、エクスプローラーUは2011年に耐震バネと短針独立稼動システムが変更されたcal.3187に変更され、同時に機種番号がRef.216570となったというのが、一般的には良く知られているモデルチェンジの概要です。
    しかし、真相はやや異なっていたのです。

    ロレックス cal.3185

    ロレックス cal.3185

    2010年後半~2011年初頭に生産されたGMTマスターU、エクスプローラーUに搭載されていたcal.3186の針と文字盤を外したところ、それ以前のcal.3186(上画像のもの)とは異なる個所がありました。

    下画像が問題の時期のcal.3186ですが、歯車と穴石の配置が異なっている事が確認できます。
    これはいったい!?

    ロレックス cal.3185

    中心に赤い歯車があるのが従来までのcal.3185~3186ですが、この度のムーブメントはcal.3186の刻印があるにもかかわらず、cal.3187から採用されたといわれていた下画像のような新型の短針独立稼働システムに変更されていました。

    ROLEX cal.3187

    この仕様はcal.3186最末期の2010年後半あたりに生産されたものにだけ見受けられます。
    この時期に生産されたRef.16570エクスプローラーU、Ref.116710 GMT-MASTERUともに同様のものがありましたので、新型耐震装置よりも先に短針稼働システムだけが変更されたようです。

    ロレックス 24時間針 歯車

    cal.3185の赤い歯車は、画像のように内周に24個の山が刻まれていて、内側にその山と噛み合う一対のレバーとそれを押さえるバネがあり、上面は人工ルビーで蓋がしてあるという複雑な構造となっております。
    ご想像通り、この歯車には独立稼動する短針が装着されます。

    リューズを1段引いて回すと1対のレバーの爪が内周を1山進み、その仕組みで短針だけが1時間進むメカニズムです。
    人工ルビーのカバーになっているのは、摩擦を軽減してスムーズな動作と磨耗耐久性を確保する為と思われます。
    カバーの1箇所に切り欠きがありますが、ここから内部レバーと山への注油を行うためのものです。

    また、透明になっている事で短針独立作動を目視で確認することが可能なため、スプリング折れなどが発生した場合の確認が容易になるという利点があります。


  • こうして動画で観ると短針稼動のシステムがすぐに理解できます。

    cal.3185 短針歯車

    ロレックス GMTマスター 修理

    短針稼動を司る新旧歯車(赤が旧)を比較すると、かなり構造が異なるため製造コストも相当な差があると思われます。
    新型のほうが針の遊び(ガタ)が少なく正確な指針が可能であったりと、コストだけがモデルチェンジの理由では無いのでしょうが、年間万単位での生産個数になると決して見過ごすことは出来ない要因です。
    この新型歯車、生産初期のものはある特徴が散見されます。

    ロレックス GMTマスタ-2 歯車

    5年以上オーバーホールを怠った場合、この歯車の中心軸にサビが発生し、短針稼働に支障をきたす事があります。
    これはオイルが変質/酸化する事に加え、回転頻度が高い事が原因と思われます。
    もっとも、設計時に想定された定期オーバーホールを行っていれば発生しないわけですから欠点ではありません。

    この歯車の生産初期(2010~2011年)のものは赤丸で囲った箇所が折れて破損する事があります。
    短針稼動に伴ってバネ性が働く支点となる部分ですので、金属疲労が原因と思われます。
    材質の他、形状にも問題があったようで、その後改良が加えられました。

    ロレックス 短針 動かない

    改良されたバネは大きく弧を描いており、バネだけでなく台座となる歯車に打ち込んであるバネ基部/支点の位置も異なっており、バネと歯車両方の部品が改良/変更されたことがわかります。
    旧型を日本ロレックスにオーバーホールに出すと、バネ折れが発生していなくともこの新型歯車+バネに交換されるようです。

    オーバーホールと同時作業が前提ではありますが、メーカーで短針歯車のリコール/無償部品交換が行われるため、2010年後半から2011年にかけて生産されたエクスプローラーUとGMTマスターについてお問い合わせがあった場合、当社では
    2020年までは以下のようにお答えするようにしておりました。

    リューズ1段引きで短針が独立して動かせない、またはスムーズに1時間ごとに動かない場合はメーカー修理をおすすめいたします。
    その場合、短針を制御している歯車とバネの破損である事が多いのですが、初期型ではこの部品に問題があったらしく、メーカーオーバーホールでは追加料金なしで対策品に交換されるという話もあります。

    この部品は入手困難かつ大変高価なため、当社で部品を入手するとメーカーでの作業価格を上回る可能性がございます。
    今回はメーカーに依頼して対策部品に交換してもらい、4〜5年後のオーバーホールの際は当社にご依頼いただくのが最も安価かつ確実な方法と思われます。

    当社では”自分のロレックスであればどのように作業してもらいたいか”という事を最前提としてお客様への対応を行っております。

    ※当社註:その後、新型バネでも折れる症状が確認されるようになり、バネの形状よりもオーバーホールを怠った事によるサビの発生にともなうバネの金属疲労が折損の主な原因であると推測しております。

    2020年5月以降、旧型、新型共に対応する対策部品の入手が可能となり、上記症状が発生した場合でも問題なく当社での受付が可能となりました。